TRUNK(HOTEL) CAT STREETの開業から7年。TRUNKというブランドの下では実に多くのメンバーたちが活躍してきました。経験者採用が主流のホテル業界にあって、業界未経験者を数多く受け入れている点はTRUNKの特徴のひとつ。そこで今回、他業界で経験を積んでTRUNKに参加した内藤かすみと、強い意志を持って新卒でTRUNKの門を叩いた関谷珠紀の二人を招き、「TRUNKだからこそ実現できるキャリアの築き方」を語る対談を実施。この対談は、女性社員自ら活躍の場を作り出そうという「TRUNK WOMEN’s PROJECT」がきっかけ。プロジェクト主催の座談会に参加した関谷の「自分らしいキャリアを明確にしたい」というWANTから実現したものです。対談は、TRUNK(STORE)でも取扱いのある100%ヴィーガンのノンフライドーナツ「VENUTS」の用賀店で行われました。

TRUNKでキャリアを築きたいと考えた、
その理由。

―― 今日は、社会人経験も豊富で今まさに仕事と子育てを両立されている内藤さんと、新卒一年目でこれからキャリアを描いていこうというスタートラインに立ったばかりの関谷さんのお二人にお越しいただきました。TRUNKでキャリアを積んでいくことについて、それぞれの立場からお話うかがえればと思います。では、最初に内藤さんにお聞きします。現在に至るまでのキャリアを振り返っていただけますか? 2023年9月にTRUNKに加わりましたね。小さなお子さまがいらっしゃるなかでの転職に不安はありませんでしたか?

内藤 私は新卒で大手アパレル企業に入社しました。最初は店舗勤務からスタートするのですが、新卒当時から商品開発に関わりたいという気持ちも強かったので、「店舗での課題を解決するために商品部に異動させてください」といったメールを商品開発担当部長に送っていました。商品開発は他社でキャリアを積み上げてきた転職組が担うことが多く、新入社員が抜擢されることはごく稀です。当時はまだ若く、怖いものがなかったんでしょうね(笑)。念願叶って商品開発でスキルを磨き、その後、複数のアパレル企業で商品開発業務を行いました。

TRUNKのことを調べ始めたのは、子どもが生まれ、自分の価値観も変わり、もう少し自信を持って臨める仕事がしたいと考えるようになったからです。前職は大量生産・大量廃棄の最前線で戦っているような会社だったので、「結局、これも捨てられてしまうのか…」と考えながらものづくりに関わるのがとても苦しかったんですね。

そんな時、知人を通じてTRUNKの方の話をお聞きする機会を得て、そこで聞いたTRUNKのブランドサスティナビリティである「ソーシャライジング」の考え方に強い感銘を受けました。ここでなら自分の仕事に自信を持てる。そう感じたことが入社を決めた一番大きな理由です。 働き方に関してはそれほど心配していませんでした。環境が変わることの不安よりも、「唯一無二の仕事を突き詰められる」というTRUNKの社風の魅力の方が上回った形ですね。

現在は時短勤務かつ完全フレックスで、うまくバランスを取りながら働くことができています。商品開発という職種は、プライベートと仕事が密接に関係してくるので、最先端の情報を知ることや自分の興味の幅を広げるために、休日も無理のない範囲でイベントや展示などに足を運び、仕事に活かせる種を探していますね。

―― 仕事に対する課題感や意識の変化に対して、TRUNKという存在がぴったりとはまったという印象ですね。ソーシャライジングへの共感も転職の決め手だったように感じました。関谷さんはいかがですか? 社会人として第一歩にTRUNKを選ぶまでの経緯を教えてください。

関谷 理念に共感し、自己成長の可能性を感じたのがTRUNK入社の理由です。大学で福祉の勉強をしていたこともあり、日本の社会保障制度が自分の満足するものではなく、将来に不安感を抱いていました。自分一人であれば、やりたいことに時間もお金もすべて投資できますが、パートナーや子どもができた時に補償に頼らざるを得ない状況も生まれてきます。そうなった時に、今の日本の社会保障の枠のなかで自分のやりたいことを制限して子どもに力を注げるかと問われたら、素直に肯定できなかった。「まず自分の人生を豊かにしよう」「どの国でも生きていける人間になろう」と考え、日本で就職せずにワーキングホリデー制度を使ってオーストラリアやニュージーランドに行こうと思っていました。

そんな時、興味本位で日本企業を調べていて出会ったのがTRUNKでした。ピンときた自分の感覚を紐解いてみると、「日本を代表するホテル業界のリーディングカンパニーとなり、日本の観光価値を高める」という理念に魅かれていることに気づいたんです。決して独り勝ちではなく、日本の社会課題に正面から向き合ったビジョンですよね。直感的に「ここで働こう」と思ったのは、TRUNKで働くことが自己の利益だけでなく日本を想うことにつながると感じたからだと思います。「自分の人生でやりたいことを見つけた」という感覚でした。

道さえ決まれば、
走ることができる。

――関谷さんは新卒、内藤さんは転職と、TRUNKへの入社経緯は異なりますが、現在は近しい業務を担われていますよね。具体的に今のご自身の仕事を教えてください。

関谷 希望していたTRUNK(STORE)に配属されました。主な業務は店頭でのお客様対応です。まずは店頭オペレーションを完全にマスターすることが目標です。いずれは商品開発をやりたいという気持ちも強く持っています。3年目以降のキャリアは選択肢が多いので、ゆっくりと考えたいと思っています。

内藤 私は主にTRUNK(HOTEL) CAT STREETやTRUNK(HOTEL) YOYOGI PARKに関わるプロダクト周り全般を担当しています。アメニティやミニバーのプロダクトの開発、新しいアートピースの選定など、モノに関わる仕事を幅広く手掛けています。TRUNK(STORE)で取り扱う新しいプロダクトの開発も重要な仕事ですね。

―― TRUNK(STORE)の業務を通じてお二人は関わりを持っているんですね。関谷さんはこれからTRUNKでキャリアを築くにあたり、どのようなスキルを磨いていきたいと考えていますか? 内藤さんからも、ご自身の経験を元にアドバイスはあるでしょうか?

関谷 英語力、会計知識、営業力、マネジメント力… 挙げればキリがないですが、財務には強くなりたいと思っています。周りの方々の声もお聞きしながら、伸ばしていきたい部分を模索している状況です。

内藤 私も商品開発に関わるなかで、財務に関わるスキルは独力で身につけました。業務に必要なスキルは自分で勉強していく必要がありますよね。「できて当然」と思われることも多いので。いずれ商品開発に関わりたいのであれば、財務に関する知識は必須ですね。TRUNKでは、利益が少なくても取り扱う意味があるプロダクトもあります。個々のプロダクトが置かれた条件のなかで、どのようなプロモーションを行なって売上につなげていくかという点も、商品開発では考えていかなければなりませんね。

関谷 営業力も高めていきたいです。売上目標に達しなかった時など、「なんとしても目標数字を達成したい」という気持ちが強くなります。だからこそ、プロダクトの販売に力を入れたいんですよね。こだわり抜いて作ったプロダクトを手に取ってもらい、ソーシャライジングの理念にも共感していただき、自宅用やギフトとして興味を持っていただくにはどうしたらいいのか。その時に求められるのが営業力であり、コミュニケーションスキルだと思っています。私一人だけでは売上目標の達成は難しいと思っています。どうやって他のスタッフも巻き込こんでいけるか。私だけでなく、TRUNK(STORE)の誰もが同じ目線で動けるのがベストなのかなと考えています。

内藤 その考え方でいいと思いますよ。「自分でモノを売れること=営業力」とすると、「自分がいなくても売れる状態をつくる=マネジメント力」。自分がTRUNK(STORE)のシフトに入っていない時でも、この子たち(=こだわりの詰まったプロダクト)を手にとってもらえるかは「仕組み」次第ですよね。マネージャーになれば、商品開発やマーケティングだけでなく、チームの人員構成やインセンティブ設計なども含めて、固定概念に囚われる事なく幅広く自分で仕組みを企画することができますよ。関谷さんは、成長したいというWANTがたくさんあるので、実現させる環境や機会がたくさんあるのもTRUNKの魅力の一つだと思います。

関谷 そうですね。最近ある方に言われたんです。「あなたは自分がプレイヤーとして動くよりも、全体を観察し、進捗を確認しながら、ベストな方法を考えるのが得意なんじゃない?」って。それが「マネジメント」ですよね。現在、プレイヤー 兼 全体を見る立場として関わっているプロジェクトがあるのですが、自分でも迷いながら奔走している真っ最中です。1年目からこのような経験をできるのはありがたいですよね。

内藤 関谷さんは以前、「道さえ決まれば、走ることができる」と話していましたよね。今まさに取り組んでいるウィンターマーケットのプロジェクトで、関谷さんに新卒社員を束ねるリーダーを担当してもらっています。そこでプロジェクトマネジメント的な視点の仕事を経験することで、その経験をTRUNK(STORE)での日常業務に落とし込めたらいいですね。ミクロの視点とマクロの視点の両方を持ちながら、自分の叶えたい将来のキャリアが見つかると日常の業務でも走りやすくなると思います。

「一致団結」でき、
共に走れる仲間を求めて。

―― 仕事とプライベートのバランスについてはどのように考えていますか? 同じ職場で働いていても、考え方の違いが出やすい部分だと思います。

関谷 私は休日も仕事のことを考えている時間が長いですね。どうしたらTRUNK(STORE)の魅力をもっと伝えられるか。どうしたら他のメンバーともっとコミュニケーションを取れるだろうか。そんなことをひとりでずっと考えています。20代の半ばまではプライベートより仕事を優先したいと考えています。

内藤 最近の新卒には珍しいタイプかもしれませんね。どちらかと言えば、私も「とにかく仕事」でしたね。逆にそうした意識が薄い人もいるし、仕事を楽しみながらもプライベートとはしっかり棲み分けている人もいる。世代や個人の考え方によって、いろんなタイプがあっていいと思います。

関谷 はい。自分のなかでも気持ちが先走ってしまって、スキルが追いついていないことにもどかしさを感じる部分もあります。でも、働く環境によって自分が成長するスピードも変わると思うんですよね。だからこそ、休日もワクワクしながら仕事のことを考えてしまうくらい、同じ熱量を持った仲間と一緒に走りたいなと思います。今の自分のキャパシティが100%だとしたら、それを200%、300%へと伸ばしていきたい。限界を突破したい。そのためには自分一人の力ではなく、仲間の力が必要になると思っています。TRUNKが掲げるCREDOのなかでも「一致団結する」を一番大事にしているんです。

内藤 「一致団結する」というのは大切ですよね。関谷さんは自分と似たタイプなんじゃないかと薄々感じてはいましたが、今日お話しして確信に変わりました。明日からの仕事のなかでも「関谷さんだったら、このタスクも受け止めてくれるかな」という信頼関係を一緒に作っていきたいですね。

でも、もしかすると、相手によっては関谷さんが持っているその「熱さ」が伝わらない可能性もあるかもしれません。チームメンバー、同期など、周りの人たちにも「熱さ」を伝えて巻き込んでいくことも大切だと思います。すでに見えているつながりのなかだけで考えるのではなく、自分と同じように全力で走れて想いに共感してくれる人をTRUNKのなかで探してみるのもいいですね。CREDOにある「語り合う」ですよね。語り合うことで感覚が近い人と出会うこともできますから。

立ち止まらないことが、
いつか力になる。

―― お二人は仕事に取り組む姿勢において、似ている部分がかなりあると感じます。これまでのキャリアに囚われることなく「語り合う」関係性を深めていけたら素敵ですよね。最後に、これからTRUNKで挑戦したいことを教えてください。

内藤 そうですね。「自分にしかできない仕事」を極めたいと思っています。TRUNKの看板が無くても仕事ができるレベルにまで専門性を高めていきたい。この思いはどの会社に所属しても変わらず持ってきました。仕事を突き詰めると最終的には「私」という個人になります。「あの人はこの分野のスペシャリストだよね」と言われるだけの特徴を身に付けたいですね。

関谷 具体的な分野は決まっているんですか?

内藤 TRUNKでは幅広い分野に関わることができるので、専門領域を決めるのは正直難しいところはありますよね。候補としてはソーシャライジングやSDGsというジャンルに特化したバイイングなどを考えています。TRUNKに転職して感じるのは、「本質的な意味」を考える場面が多く、それが自分の成長につながっているという点です。世の中にはモノが溢れていて、「同じものでも、それを誰から買うのか?」が重要になっていますよね。TRUNKでは、「モノの価値を捉え、言語化し、伝え方を練り、人を動かす」というスキルが日々訓練されていきます。その経験はこれから先にも活かせるものだと思います。

関谷さんはこれからTRUNKで、どんな挑戦をしてみたいですか?

関谷 今の私のWANTは「ソーシャライジングに特化したPOP-UPを手掛けること」です。TRUNK(STORE)の店頭でもソーシャライジングの5つの要素(「ENVIRONMENT(環境)」「LOCAL FIRST(ローカル優先主義)」「DIVERSITY(多様性)」「HEALTH(健康)」「CULTURE(文化)」の5つの要素)が持つ意味をお客様にお話ししていますが、5分、10分の接客時間ではどうしてもその全てを伝え切ることが難しいですよね。

例えば、ソーシャライジングの要素のひとつである「環境」を紐解き、現在の環境問題、その影響による世界の未来について、写真や映像などを通じてソーシャライジングというコンセプトの重要性を広めていく。そんなイベントを企画したいと考えています。そのなかでTRUNK(STORE)のプロダクトについても、ストーリーを説明しながら販売できたらいいですよね。

挑戦するなかでやっぱり壁にぶつかることもあると思うのですが、立ち止まりそうになった時、内藤さんはこれまでどうやって乗り越えてきましたか?

内藤 ありきたりかもしれませんが、「目の前のことに全力で取り組む」ということだと思います。新卒の人たちは大きな志を持ってTRUNKに入社してくるので、自分の今の仕事が小さいもののように思える瞬間が訪れるかもしれません。でも、その仕事の大切さは、後にならないとわからない。その時に立ち止まらないことが大切。結局は時が解決してくれる。私自身も時間が経って、さらにはその会社を離れて、初めてその時の小さく見えていた仕事の重要さに気付くことが何度もありました。

私の場合、外部環境が変わって半強制的に自立しなければ行けなくなった時、当時を思い出すことで堂々と振る舞えたし、責任感も高まりました。立ち止まらなかったことが力になることがあるんです。TRUNKには社内ドラフト制度(自分のキャリア形成のために異動したい希望を伝えるだけでなく、各マネージャーから一緒に働きたいメンバーへオファーを出すことができる制度)があるので、転職をしなくても環境を変えられるわけです。関谷さんも「社内の複数部署からオファーをもらう」という目標を立ててみてはどうでしょう?

関谷 そうですね。TRUNKは興味を持って手を挙げれば、チームに参加させてくれる空気がありますよね。今までは「私はまだ新卒1年目だから…」「先に入社した先輩もいるから…」という感じで、どこか自分で線を引いていた部分がありましたが、内藤さんとお話しして「自分のゴールに向かって進んで行っていい」「先輩より先に進む可能性があってもいい」と思えるようになりました。

―― すでにあるキャリアステップを選択するだけでなく、自分自身で切り開いていく。関谷さんが新卒女性のひとつのロールモデルになって、後につづく人たちに道をつくってくれたらTRUNKとしても嬉しいことですよね。内藤さんにはこれからも良き相談相手として、キャリア形成の先輩として、関谷さんと「語り合う」関係性をさらに深めてもらえたらと思います。今日はお時間をいただき、ありがとうございました。

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