TRUNK(HOTEL) CAT STREETのコンセプトであるソーシャライジング。「自分らしく、無理せず等身大で、社会的な目的を持って生活すること」を表すこの言葉は、TRUNK(HOTEL) CAT STREETの開業以来、TRUNKブランド全体に響く通奏低音として、進むべき方向を示し続けてきました。TRUNK(HOTEL) CAT STREETの一角に位置するソーシャライジングコンビニエンス TRUNK(STORE)は、リサイクル&アップサイクルなプロダクト、オーガニック食品、地元発祥の商品など、ソーシャライジングを体現したアイテムを開発・厳選して取り揃えており、ショッピングを通じてソーシャライジングをより身近に体験できる場。今回登場するのは、TRUNK(STORE)を取り仕切ってきたストアマネージャーたち。わずか32.7㎡でありながら、ある意味、TRUNK(HOTEL) CAT STREETの中でも最もソーシャライジングを体感できる特別な空間を、一体どのような想いで創り上げてきたのか。これまでのマネージャーである竹前隆浩、大久保朱莉、そして現在マネージャーを任されている金城かれんの3人に話を聞きました。

―― 今日お集まりいただいたのは、TRUNK(STORE)の新旧のマネージャー経験者です。最初に、皆さんはどのような経緯でTRUNK(STORE)での業務に携わることになったのか、教えてください。

竹前 私は新卒でT&G(親会社であるテイクアンドギヴ・ニーズ)に入社し、結婚式のサービス・キャプテン業務を担っていました。T&Gに入社したのは、創設から2年目の部署で自ら新しい価値を創っていく点に魅力を感じたからでした。様々な業務を経験したのち、当時の上長からからTRUNKへの異動を勧められたときは、入社した頃と同じような好奇心が湧き上がったことを覚えています。出来上がったものを大きくするよりも、これから創り上げていくことに関心があるのでしょうね。私はTRUNK(HOTEL) CAT STREETの開業期にマネージャーを務めましたが、当初は本当に何もかもが手探りの状態でした。

大久保 私は、TRUNK(HOTEL) CAT STREETの開業年に新卒で入社し、最初に配属されたのは宿泊部でした。フロントデスクに立ち、チェックイン、チェックアウトはもちろん、コンシェルジュ業務や予約業務までマルチタスクで担当しました。ゲストのために奔走する毎日はとにかく充実していましたね。それから1年経たずしてTRUNK(STORE)に異動に。フロントの仕事があまりにも楽しかったので、正直なところ、少し寂しい気持ちもありました。その後、マネージャーを竹前さんから引き継いだのですが、その年にコロナパンデミックが発生しました。TRUNK(HOTEL) CAT STREETも休業を余儀なくされ、ホテルにはほとんどスタッフがいなかったのですが、TRUNK(STORE)はオンラインショップの営業を続けていたので、なんとか乗り越えようと奮闘していたことを思い出します。

金城 お二人と違って、私は開業から少し時間が経ち、やや落ち着いた5年目に新卒採用でTRUNKに入社しました。マニュアルありきではなく自分らしい接客ができること、様々なバックグラウンドを持つ方々が活躍しているおしゃれな空間で働いてみたいと思ったのが入社のきっかけですね。入社後すぐにTRUNK(STORE)に配属されました。当初は、取り扱う膨大な数のプロダクトの商品知識やストーリーを頭に入れるだけでも、かなり苦労したことを覚えています。業務に慣れてきてからは、ゲストに合わせて商品説明のポイントを変えるなどの工夫も楽しくなり、常連様とのコミュニケーションも弾むようになっていきました。日常を取り戻し、インバウンドのお客様も増えてきた頃にストアマネージャーに就任したので、この状況を追い風にして、ここからさらにTRUNK(STORE)を成長させていきたいと考えています。

飛躍的に成長できるTRUNK(STORE)マネージャーという仕事。

―― TRUNK(STORE)のマネージャーとなれば、商品開発から仕入れ管理、チームマネジメントまで、いわば一つの個人商店を運営するようなものですよね。幅広い業務を経験できるポジションという意味で、現在では新卒社員の登竜門的ポジションにもなっていますよね。

金城 現在では新卒入社からTRUNK(STORE)に配属されることも多いですね。私自身はベテランのマネージャーから学び、吸収したものをアウトプットしながら、一人前になれるように頑張っています。TRUNK(STORE)は比較的小さなビジネスユニットなので、最初のキャリアステップとしてチャレンジしやすい環境だと思います。お二人はいかがですか?

大久保 そうですね。確かに規模が小さいので、自分の行動がすぐに結果として現れやすい部署だと思います。その点において、新卒社員のチャレンジの舞台に向いていると思います。一方で、TRUNK(STORE)のマネージャーが管轄する領域は本当に広く、かつ専門的。学べる事は多いですが、決して単純ではありません。竹前さんはどう見ていますか?

竹前 私がマネージャーを務めていた頃とは位置付けが少し変わってきていますよね。TRUNK(STORE)は、業務が多岐にわたるため社内の各部署との関わりも多く、TRUNKのマネージャーに求められる豊かな人脈を育んでいけるポジションだと考えています。スポンジのような吸収力を持って業務に取り組めば、きっと得るものが多い場所ではないでしょうか。

大久保 竹前さんのお話を聞いて、とにかく我武者羅に、すべてを自分事として捉えて情報をつかみに行き、メンバーと一緒にお店をつくっていくという意気込みで臨んでいた自分を思い出しました。周りの方々にサポートしてもらいながら、できる事を少しずつ増やしていった日々でしたね。

竹前 付け加えるなら、ソーシャライジングの社内への浸透の視点ですね。ここで培ったTRUNKブランドが大切にするサステナビリティコンセプト=ソーシャライジングへの理解を持って、社内へと広く伝えていくことも、TRUNK(STORE)で働いた私たちのひとつの役割だとも思っています。

壁があるから、成長できる。

―― TRUNK(STORE)のマネージャーに就くまでの背景は異なりますが、それぞれにとって新しいチャレンジだったというのは共通しているかと思います。TRUNK(STORE)での業務を進めるなかでは、多くの苦労があったのではないかと想像します。困難に立ち向かう原動力は何だったのでしょう?

竹前 まさに、です。TRUNK(STORE)での業務に関わった当初は、全く別の業界に転職したような気分になりました。TRUNK(HOTEL) CAT STREETのコンセプトであるソーシャライジングを理解し、それを体現することから始まり、小売業の知識、物流の基本、在庫管理、広告宣伝、社内外とのコミュニケーションまで、幅広い領域を学ばなければならない。多岐に渡る業務のすべてが、それまでとは全く違っていましたから。自分の知見を広げ、わからないことは周りを頼りにする。このあたりのバランスには、少し苦しんだかもしれません。

大久保 同感です。TRUNK(STORE)のメンバーが担っていた業務は、その量も質も、外からイメージしていたものと全く違っていました。商品を販売する役割だけではなく、社内の誰よりもソーシャライジングについて理解し、ゲストへ届けるコミュニケーションが求められます。様々な領域における管理、分析、EC運用、企画、販促、他部署との密な関わり…。挙げていけばキリがありませんよね。初めは業務領域の広さに圧倒されていましたが、裏を返せば、毎日のように新しいことを学べる機会があるということ。生来の負けず嫌いの私にはTRUNK(STORE)の環境はピッタリでした。

竹前 そうですね。苦しくても踏ん張れたのは、やはり自分の成長を実感できたから。それまでの業務を続けていたら決して交わらないであろう人たちと深くコミュニケーションを取ることができましたし、わからないことへの悔しさをバネにして前に進むこともできた。社内の他部署にいる魅力的な人々との関わりが多かったのも魅力でしたね。現役のストマネージャーの金城さんはどう感じていますか。

金城 はい。私は今でも店頭で接客をしていますが、TRUNK(LOUNGE)やTRUNK(KITCHEN)など、ホテル内の別のコンテンツと比べて、TRUNK(STORE)はゲスト層や利用シーンも様々。変化の速さが日々楽しくて、やりがいを感じます。自分の接客や商品開発した商品に共感してくださったゲストがリピートにつながったことを実感できるタイミングもあり、その時は純粋に嬉しくなります。

この場所こそがソーシャライジングを体現する場所。

―― TRUNK(STORE)では、常に新しいことをインプットし続けられる環境があるのですね。未知の課題に直面することも多いなかで、どのようなマインドを持って仕事に取り組んでいたのでしょうか?

金城 私は、何か迷うことがあったら、すぐに社内のメンバーにアドバイスを求めています。TRUNKには、私より深く経験を積んだ方たちが揃っているので、その考え方からできる限り多くのことを学び、吸収することを心がけています。社外の方と接する時にはTRUNK(STORE)の代弁者として、社内の他部署の方と接するときには貴重な知見をTRUNK(STORE)へ還元する人として、意図的に立ち居振る舞いを変えることでバランスを取っていましたね。先輩たちはどうですか?

竹前 確かに、自分がマネージャーだった当時を思うと、大変な部分はあったかもしれませんね。それでも比較的、裁量と権限が与えられていたので、自分の思うようにTRUNK(STORE)の運営を進めることはできました。私としては、TRUNK(STORE)こそが、TRUNK(HOTEL) CAT STREETのコンセプトである「ソーシャライジング」をどこより強く体現している場所であるという自覚感覚を持ち続けていました。特に開業して数年のうちは、TRUNKのメンバーのからも取り扱うプロダクトに関してさまざまなご意見をいただきましたが、「ここがソーシャライジングを最も濃密に表現した空間なのだ」という静かなプライドがあったからこそ、全てが思うようには進まない時期でもブレることなく進むことができたのかなと、今ではそう思っています。大久保さんは成長意欲が高いから、TRUNK(STORE)の環境は合っていたんじゃないですか?

大久保 はい。私は、特に3年目にマネージャー職になって以降は「掛けてもらっている期待以上のものを出したい」という気持ちで動き続けてきました。新しいことを覚えることは元々好きですし、できることが少しずつ増えていくことが嬉しかった。CREDOで言えば「成長を好む」ですね。当時を振り返ると、経験値の高いスタッフも少なかったので、「私が何とかしないとお店が立ち行かない!」という危機感もありましたね。「ここは自分のお店、だからこうしたい」という考え方で、自分が何をすべきかを常に考えていた気がします。仰る通り、私には向いていたと思います。

金城 私の場合、運営に関しては前任者に助けられている部分も大きかったと思います。TRUNK(STORE)を取り巻く環境もかなり整った状態になっていましたから。それに対して、竹前さん、大久保さんがマネージャーだった頃には、まだまだ不確定な要素も多かったと想像するので、その苦労を思うと頭が下がります。私も、皆さんに負けないようにTRUNK(STORE)のコンセプトを表現していきたいと思います。

TRUNK(STORE)にいるからわかること。

―― TRUNK(STORE)こそがソーシャライジングを最も体現している空間だというプライド。その気持ちがあったから、あるべき姿を追い求めて来られたのでしょうね。では、そのソーシャライジングについて、もう少し聞かせてください。ソーシャライジングを表現した多彩なアイテムが揃うなかで、マネージャー経験のある皆さんが特に深い思い入れを持っているプロダクトを教えてもらえますか?

大久保 TRUNK WINTER MARKETの時期にスポットで取り扱っていたトートバッグですね。この商品にはソーシャライジングの要素が詰め込まれています。素材には汚れや傷みでゲスト向けには使えなくなった客室用リネンを用い、TRUNK(STORE)やTRUNK(LOUNGE)で毎日排出されるコーヒーグラウンズ(抽出後のコーヒーの粉)で染め上げました。ストーリーも語りやすく、商品の裏側を知ることで、手に取って頂いたお客様にもさらに喜んでいただきました。優しい色合い、ビジュアルが人気で、すぐに完売した思い出深いアイテムです。金城さんは?

金城 私の推しはTRUNKのロゴが入ったマグカップです。TRUNK(LOUNGE)でも使われているこのアイテムはTRUNKのアイコン的存在ですよね。環境負荷の少ないモノづくりを目指す岐阜県の「グリーンライフ21プロジェクト」と共同開発したこのマグは、レストランやカフェ、学校などで使用済みとなった食器を全国から回収・粉砕、新しい粘土と混ぜ合わせて焼き上げたもの。ソーシャライジングの観点からも語りやすい要素が盛り込まれていますよね。TRUNK(STORE)に配属になった頃、ご来店いただいたお客様に必ず説明しようと思っていたアイテムの一つでした。今でも多くの方に喜んでもらえるTRUNK(STORE)の定番中の定番ですね。竹前さんのお気に入りも聞きたいです。

竹前 正直、どれも思い出があるので迷いますね。強いて挙げるのなら、ショコラボ工房のチョコレートです。ショコラボ工房は、神奈川県を拠点に、障碍者と健常者が共働するモノづくりを推進しています。就労支援や賃金向上、質の高いモノづくりの価値を広めるなど、ソーシャライジングと共鳴するコンセプトを体現しながらも、見た目もおしゃれな商品を実現していることに感動を覚えました。TRUNK(HOTEL) CAT STREET開業当時、実際に工場まで足を運んで共に作った思い出の品ですね。

―― TRUNK(HOTEL) CAT STREETの中でも、とりわけソーシャライジングの濃度が高いTRUNK(STORE)だからこそ、ここでの業務経験が現在の業務に与えている影響も大きいのではないかと思います。他部署に異動したことで見えてきた、「ストアマネージャーを経験することの価値」について聞かせてください。

大久保 TRUNK(STORE)から異動になって気付いたのは、他部署ではまだまだソーシャライジングの体現が弱いということ。「ソーシャライジングコンビニエンス」を掲げるTRUNK(STORE)では、すべての商品にソーシャライジングにまつわるストーリーが紐づいています。息をするように、毎日当たり前のものとしてソーシャライジングに接してきましたが、他部署でも意識されているものの、もっと良いものがあるのではないかともの足りなく感じることもあり、RUNK(STORE)ほどにはソーシャライジングが強く意識されていないことに気付かされたのです。ソーシャライジングがTRUNKブランドが大切にしているサスティナビリティのコンセプトである以上、私自身はCAT STREETはもちろん、YOYOGI PARK、TRUNK(HOUSE)すべての部署において重要な要素であるべきだと考えています。TRUNK(STORE)のマネージャーを経験した身としては、社内で次々と立ち上がる新しいアイデアに対して「それはソーシャライジングに反していないか?」という視点で必ず示唆するようにしています。

竹前 実を言うと、TRUNKに入社する前は、社会貢献や社会問題は自分とは縁のない話だと思っていました。ですが、TRUNK(STORE)の業務のなかで身近な課題として触れるようになったことで、必然的に自分にも関係があるものとして意識するように変わっていきました。結婚式の打ち合わせの際に使用している紙やプスチック資材の環境負荷や婚礼を希望される方々のLGBTQ+に対する社会課題など、日々の業務のなかで「本当に今のままで大丈夫なのか?」という視点を持つようになりましたね。

―― 最後に、これまでの経験を活かして、さらにやってみたいこと、挑戦したいことを教えてもらえますか。

大久保 どちらかと言うと「1→10」は得意なのですが、「0→1」が苦手という意識があります。これからは、新しいものを生み出すクリエイティブの部分を伸ばしていけるような、そんな取り組みをやってみたいと思っています。

竹前 TRUNKには同世代や若手もどんどん増えてきています。そういったメンバーが集まり、自分たちの好きなこと、面白いと思うことを、肩書なんて関係なく、自由にやってみたいですね。

金城 自由に旅する生活に憧れますね。ソーシャライジングアイテムを見つけるために、日本の隠れた魅力や伝統的なアイテムを探しに、キャンピングカーで日本一周なんて最高じゃないですか。

―― TRUNK(STORE)がソーシャライジングを最も体現する場所であり、そのことについて、マネージャー経験者の皆さんが強い誇りを持っていることがひしひしと伝わってきました。皆さん、ソーシャライジングを社内に伝える伝道師のような役割を果たしているのだと感じます。TRUNK(STORE)での経験を活かして、TRUNK全体にソーシャライジングをさらに浸透させていくであろう未来がはっきりと見えますね。今日は貴重なお話、ありがとうございました。

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