ホスピタリティ業界にイノベーションを。というミッションを掲げ、ブティックホテルを起点に新たなラグジュアリーを提案するTRUNK(HOTEL)。TRUNKが目指す未来に向かうには、「個」と「組織」の力の最大化が不可欠です。株式会社TRUNK専務取締役であり、人材開発部部長である市川裕秀が、根幹となる人事戦略のいまを語ります。

私たちが考える新たなラグジュアリーを定義した「TRUNK STANDARD」。

TRUNK STANDARDとはなんですか?また、どんな取り組みをしているのでしょうか?

私たちが創るホテルは、独創的で店舗ごとに異なるコンセプトと高いクリエイティビティをセールスポイントに持つ、ブティックホテルです。

私たちがターゲットとしているのは、ライフスタイル感度の高い富裕層。その方達にご満足いただくためには、ラグジュアリーホテルに求められるような安心・安全は当たり前に提供した上で、一人ひとりがゲストの潜在ニーズを捉え、それに応えるサービスを提供することで、6感すべてを満足いただける予想を超える体験をお届することが必要だと考えています。

TRUNK STANDARDとは、私たちが取り決めた、目指すべきホスピタリティの基準です。空間や施設設備、接遇から商品に至るまで、TRUNKらしいクオリティのあるべき姿を記しています。

それは、「汚れがない」「正しく置かれている」と言った評価項目ではなく、「ソファーの座り心地」や「メニューの触り心地」のような、感覚の部分までも細かくクオリティを定めたものです。

TRUNKには、すべてのアウトプットのクオリティをチェックするクオリティディレクターがいます。そのメンバーを中心として、TRUNK STANDARDを元にすべてのクオリティ管理を行っていますが、前述のように、感覚の細部までクオリティを定義することによって、例えば、「見た目は綺麗な椅子だが、座り心地がよくない。」など、よりゲストに近い目線でのクオリティ管理が実現できています。

TRUNK STANDARDを実現し、ゲストへ価値ある体験を提供するには、一般的なホテルやホスピタリティ業に存在するような、「マニュアル」を運用するだけでは到底到達できません。一人ひとりが、「なぜ、そうなのか?」と自問し、考えを深める思考力を持つことが重要だと捉えています。その考える力が、ゲストの潜在的なニーズを捉え、今自分が何をすべきかを思い描き、行動として発揮するための源泉となるからです。

メンバーのWANTを醸成する様々な取り組みも、考える力を養うためのものではありますが、目指すべきは「マニュアルのない運営」です。そもそも、多様化したニーズに応えるためのマニュアル作りは困難を極めますし、「こうしたら、こうする」といった機械的な対応をするだけでは、ゲストを満足させることはできません。マニュアルに頼らず一人ひとりが考え行動しなければ、ゲストへ予想を超える体験はお届けできるはずがないと考えています。

空間や施設設備においては、ゲストに安全安心にご利用いただくためのインスペクションシートこそありますが、それ自体も一人ひとりが、より価値を提供するためにどうすべきか?を考え、日々運営メンバーの意思で更新されています。

もちろん、ホスピタリティ業界を代表する企業を目指している私たちですから、業界に従事するものとして必要な基礎をおろそかにすることはありません。そのために、多様な経験を積んできたサービス、調理のスペシャリストを採用し、メンバーの育成指南役として活動ができる部門を設置するなど、組織を横断して徹底的に基礎力を高めることにも取り組んでいます。また、アルバイトの育成においても、独自の育成ガイドラインと評価基準を設けて、お客様を迎える全メンバーがTRUNKらしいホスピタリティを高い水準で提供できるような仕組みを整えています。

これからも、新しいラグジュアリーを表現するホスピタリティと呼ばれるに相応しいクオリティを目指し、TRUNK STANDARDを体現できる組織作りに取り組んでいきます。

「人」「組織」を 、これからのTRUNK最大の強みとしていきたい。

2017年5月に新たなブティックホテルというスタイルのホテルとして、TRUNK(HOTEL)を始動してから3年半が経ち、国内外からTRUNK(HOTEL)に対する共感をいただけているという実感はあります。

ホテルのコンセプトやデザイン性の高さに注目をいただくことが多いTRUNKですが、その一方で、私たちの本当の強みは、「人」「組織」であるべきだと考えています。お客様の期待を超えるサービスを提供し、業界にイノベーションを起こしていくためには、マニュアルや固定概念を軸に考え行動するのではなく、自分の目の前で起こっている状況やコトに対して、どうあるべきかを自分の頭で考え言動できる「人」であることが求められますし、そんな「組織」を創っていきたいと考えています。そして、一人ひとりが、自分の強みやWANTを発揮しやすい環境を整えていくことで、良い変化(進化)が生まれ続けるように、惜しまず支援して行きたいと思っています。

TRUNK(HOTEL)誕生から我武者羅に突っ走ってきた私たちのこれまでを振り返ると、評価できる部分もある一方で、多くの課題も見えてきている現状です。今後出店が控えていることも踏まえ、さらなる躍進に向けて、いまがターニングポイントにいると捉え、メンバーと共にしっかりとした基盤を築いていきたいと思っています。私たちが目指していることは、大きな挑戦であると自負しています。決して容易ではない道のりですが、私たちなら必ず成し遂げられるという自信もあります。いま以上に多くの方々から期待して頂けるホテル創りを目指し、TRUNK(HOTEL)、TRUNK(HOUSE)をはじめとしたTRUNKブランドを進化させていきたいと思っています。

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