TRUNK(HOTEL)には、マニュアルがありません。ここで働くスタッフたちの主体的な行動と自由なアイディアが、唯一無二の空間を作り上げています。では、TRUNK(HOTEL)のスタッフたちは、なぜマニュアルがなくとも臨機応変に動くことができ、そして成長を遂げていくのか? 社長の野尻佳孝と、人事部長でありオープニング前からTRUNK(HOTEL)のコンセプトメイキングに携わった市川裕秀が、弊社の採用、人材育成について語りました。

”平均点の高さ”ではなく、”突出した個性”を。

野尻:
TRUNK(HOTEL)の戦略のひとつは採用にあります。私たちが掲げるのは、多種多様の尊重で、それはつまり、いろいろな能力を尊重すること。一般的に日本のホスピタリティ産業では、マニュアルが最も重要とされ、それをこなす能力が平均的に高い人が必要とされる傾向にあります。そのため、せっかく秀でた能力がある人がいても、全てにおいて平均的な能力を持った人が採用されやすいというのが現状です。

 一方で、TRUNKは個性を尊重するので、仮に特定の能力が低くても、突出した特殊能力を持ち、総合的に平均点が上回る人であれば、そこを尊重して採用しています。その際、絶対的な基準にしているのが、価値観が同じであること。我々がコアバリューと呼んでいる独創、革新、誠実、貢献。この4つが伴っている人であれば、採用につなげています。

 仕事をする上での個々の能力や技量はバラバラで構いません。たとえ平均的にすべてをこなせなくても、価値観さえ同じであれば、ある意味悪いところ、弱点に目をつぶることさえもする。その捉え方が、TRUNKらしさなのです。

TRUNK(HOTEL)らしさは、多種多様なスタッフの存在にこそある。

 マニュアル化した職場環境であれば、そこで働く従業員は見た目も含めて均一化したほうがいいのですが、マニュアルのない職場では、さまざまな人がいたほうが、臨機応変にいろいろな表現や行動ができるし、お互いを補い合うこともできる。

 TRUNKでは、金髪でも、長髪でも、タトゥーが入っていてもOK。面白い能力を持ったユニークな人間が集まることで、他のホテルにはない輝きを見せられる。それこそがTRUNK(HOTEL)の強みであり、私たちにしかできないサービスを生み出している要因だと思います。

TRUNKスタッフに関するインフォグラフィックス(株式会社TRUNKリクルートサイトより)

  

実際にトランクホテルで働くのは、個性豊かなスタッフたち。では、実際の採用や、採用後の人材育成はどのように行われているのでしょうか? 市川が続けます。

採用基準は、コアな価値観が合致しているかどうか。

市川:
TRUNK(HOTEL)で大切にしている価値観。これを具体的な言葉に置き換えたものが、野尻からもお伝えした、独創、革新、誠実、貢献の4つのコアバリューです。採用時の基準もそこにあって、仮に価値観を数値化したら全員が一緒ではないかもしれません。強弱はさまざまあると思います。ただ、少なくともコアな部分では揃っている、価値観を共有しているという前提で人事採用を行っています。

人材育成のキーワードは、”オーナーシップ”と”クリエイティビティ”。

 戦略として理念を大切にしていくことは揺るぎない事実です。そこにはビジョンがあって、ミッションがあって、4つのコアバリューがあります。さらに自発性や主体性を発揮することを目指すオーナーシップと、ゼロからなにかを生み出したり、イノベーションを生み出すようなクリエイティビティ。このふたつをアクションとして掲げています。そして、これらを浸透させるためにさまざまな取り組みを行っています。

2つのアクションをスタッフに考えさせる「人事キャラバン」。

 そのひとつが人事キャラバンです。例えば、参加したスタッフに、うちの会社にスタンダードがなくマニュアルも作らない理由を問いかけます。そして、それに対して、オーナーシップを発揮してほしいからだよねと伝えたり、すでにあることをやっても新しい市場はできないから、クリエイティビティが必要だと説明したり。2つのアクションについてみんなで考える機会を設けています。さらにチーム全員でミーティングをする場でも、これらについて考える時間を持つことも促しています。社長の野尻もスタッフに向けた発言の中で、「会社は社員のものであり、自分たちが作っていくんだ」といった言葉を繰り返しながら、意識的な働きかけを行い、少しずつ企業風土を醸成している最中です。

「会社は社員みんなのもの」という意識の働きかけ。

 また、会社はみんなのものだと言っている以上は、自由に意見が言える場所が必要です。そこでスタッフであれば誰でも参加できる「みんなの会社プロジェクト」を立ち上げて、人事制度をはじめ、どんな会社にしたいか、そのためにはどうすればいいのかなどを、有志で話し合っています。たとえ入社間もない新人であっても社長に意見が言えるように、手軽にコミュニケーションがとれるLINE WORKSを使い、アルバイトも含めた全員がそこでつながっていられる環境も用意しました。

社長からアルバイトまで。フラットなコミュニケーションが育むもの。

 LINE WORKSの使い方についてのルールはなく、野尻が社長日記のような形でスタッフに向けて言葉を発することもあれば、ホテル内の異変を見つけた人が「ここ汚れてます!」「ここ壊れてます!」と発信することもあります。異変の報告があると、ほかの部署の誰かが「それうちで処理します!」と対応するので、すぐに改善されますね。

 ラウンジやレストランなどに花を飾るフラワーチームが「今日の花はこれで、こんなストーリーがあります」と情報を写真とともに送れば、誰かがお客様から花について聞かれた時にパッと答えられる。野尻も「それいいねえ!」などと積極的に反応しています。中には新たな提案を投げかけるスタッフもいるなど、単なる業務上の情報共有だけではなく、さまざまな目的で、みんなが自由に活用している。オーナーシップやクリエイティビティを育て、発揮する場としても効果が出ていると思います。

”ルールを持たない覚悟”が、未来のTRUNKを担うスタッフを作る。

 正直な話、会社としてスタンダードやルールをもたないのは、人事の立場からすると怖い部分もあります。ルールで縛っていない分、よほどのことがない限り、とがめることも難しい。

 例えば、制服は配布していますが、着なければいけないわけではなくて、グッドテイストな服装をするのであれば、着なくてもいいと伝えています。
とはいえ、判断するのは本人なので、会社としてのトーン&マナーが崩れてしまう恐れがあるなど、リスクはあります。それでも我々は、果たすべき役割や目的が果たされていれば、プロセスは二の次という考え方なので、覚悟を決めて今後も継続していくつもりです。

 もしかしたら、100人程度の会社だからできることかもしれませんし、将来的に人数が増えていった時に、ルールがないことでの難しさは増していくかもしれません。あえて難しいことをやっている感覚はありますが、今いる100名ほどのスタッフ1人ひとりが、TRUNK濃度の高いキャラクターに育っていき、あとから入ってくるスタッフを染めあげてしまうくらいになっていけば、持続は可能だと思います。

スタッフの個性を、いずれは確固たるTRUNKのアイデンティティに。

 2017年5月に開業したまだ歴史の浅いホテルなので、人事戦略が正しかったと言い切れるかどうかは、あと数年後の状況によるとは思います。
ただ、ホテルを訪れた方から「TRUNK(HOTEL)って働いているスタッフが楽しそうだよね」とお褒めいただけている以上、少なくとも現時点では人事戦略の方向性は間違ってはいないと確信しています。

株式会社TRUNKの採用情報
「TRUNK Co.,Ltd RECRUIT SITE:THIS IS TRUNK」


 

RECRUIT TOPははこちら

SHARE THIS ARTICLE